『isita.』 2016/2017aw Collection

 

 

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『僕が何かをする事で他人が喜んでくれる事が大事だと再認識した。』

 

 

 

そう答えるのは、先日メジャー通算3000安打という大偉業を達成したイチローの言葉である。

 

 

 

彼のプレーから、野球ファンのみならず世界中の人々が勇気を与えられたのではないだろうか。

 

 

 

家族、友達、他人のために

 

 

 

そう頭では考えるも、行動に結びつかせることは中々大変だ。

 

 

 

今年4月、熊本県で大地震が発生し多くの被害が出た。

 

 

 

4ヶ月経った現在も行方がわからぬ、大学生が乗っていたと思われる車の破片を手掛かりに、僅かな情報の中で助け出したいと必死に捜索を行っている救助隊員がいた。

 

 

 

しかしそんな捜索の結果も虚しく、遺体で発見されたという報道を耳にした時に本当に悔しい想いになった。

 

 

 

 

『私は服を作る人間として、私なりのやり方で人々の力になりたい。』

 

 

 

 

そう語るのは、ブランド 『  isita.  』 を今年2016年から手掛ける デザイナー 井下 恭介 だ。

 

 

 

ブランドのコンセプトは  【反抗】 と 【自己の確立】 だという。

 

 

 

1995年、熊本県に生まれた彼は小さな頃からものづくりが大好きな少年だった。

 

 

小学生の頃、周りの子供達がゲーム機を欲しがる中、自分で描いた絵に両親が値段をつけお小遣いを貰ったりと、彼の独特の感性はそういった家庭環境の中で育まれたのかも知れない。

 

 

 

高校時代には柔道に励み、インターハイにも出場した事があるというなんとも類い稀な才能を持ち合わせた人物である。

 

 

 

そんな中、彼が18歳の時父親を亡くした。

 

 

 

絶望の淵に立たされ、断腸の思いを味わった。

 

 

 

しかし彼は負けなかった。

 

 

 

 

『それでも僕達は生きなければならない』

 

 

 

 

今回の彼のCollectionのテーマでもある。

 

 

 

 

絶えない戦争、自殺、テロ......

 

 

 

 

毎日目を塞ぎたくなるようなニュースで溢れている。

 

 

 

 

そんな苦しみ、悲しみの中に少しでもある "光 " 

 

 

 

 

彼の愛したを通じて誰かの光になりたい。

 

 

 

 

 

彼は先日の大災害が発生した後に自分なりのやり方で故郷の為に動く。

 

 

 

やはり、彼の愛したで。

 

 

 

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復興支援Tシャツを作り、集まった売り上げ金の全額寄付を行った。

 

 

 

その姿は確実に周りを動かした。名古屋市内で行った寄付金集めにも多くの人が集まった。

 

 

 

2016年8月6日、広島では71回目の原爆の日を迎えた。

 

 

 

この日、私は愛知県名古屋市で開かれた彼のCollectionの受注展示会へ行ってきた。

 

 

 

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名古屋市内にあるTAKERU cafeというお店の一角で行われていた。

 

 

私の中で、展示会というと華やかで盛大というイメージがあった。

 

 

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ルックブックとラックに掛かった4着の作品、壁に掛かった数枚の写真。失礼ではあるが、イメージしていた盛大とはいえず、非常にシンプルな空間であった。

 

 

しかし、それだけで十二分だった。壮麗で派手な場所なんて必要ないのだとすぐに気付かされる。私はそこで、酷く流れのはやい河の上に長い映画の物語が浮かび、目の中で流れていくような錯覚にかられた。

 

 

 

私はまず、ルックを手に取り拝見した。

 

 

 

普通、こういったルックというのは一冊の写真集のように写真がプリントされたものが一般的だが 『  isita.  』 のルックはひと味違った。

 

 

 

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表紙には塗料の上にisita.のタグが貼り付けられ、どこか1つのアート作品を手にしている感覚だ。

 

 

 

それはただのルックではなく、間違いなく彼の生き様、魂が詰まっていた。

 

 

 

 メダルの重みが違うと、メダリストが揃って口にするがそれに似た感覚だろうか。

 

 

 

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ルックのあるページでは、井下本人の直筆で書かれたメッセージがあった。彼に尋ねると、ある作家の小説の一部分を引用しているとか。

小説などからもインスピレーションをうけ、今回の作品にも大きく影響を受けた部分があるという。

話を聞いていると、彼がよく枯れた、水をたっぷりと吸収するスポンジに見えてきて仕方ない。

 

 

 

 

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[ルック1ページ目]

 

 

 

 

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[ルック最後のページ]

 

 

 

ルックの最初と最後のページだ。皆さんはこの写真から何を感じるであろうか?

 

 

 

路頭に迷いながらも、生きるためにはいあがる。

 

 

 

 私はこのページからとてつもない力強さを感じた。陰と陽。小説を読み終わったあとの感覚に似たものがあり、見た者に考えさせる。

 

 

 

益々、彼の魅力にひかれる。

 

 

 

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 今回ルックの撮影にあたり、プロのカメラマンと、地元の友人カメラマンに依頼したという。ここまでに沢山の人の協力の元行われた。

 

 

 

自然と彼の周りには人が集まる。人との繋がりを大切にしてきた証拠だ。

 

 

 

 

他人のことは考えず、自我の欲求のためだけに生きていくことは楽で気持ちが良い。

 

 

 

 

目の前で辛い思いをしている人のために何か出来ないかと、行動する彼の姿はとても美しい。

 

 

 

自分の事で精一杯になっている人が私も含め、多い気がしてやまない。 

そんな彼の姿は私達も見習う所がある。

 

 

 

故郷の震災、父親の死....

 

 

 

 

マイナスとマイナスを掛け合せればプラスになる様に、彼はどんなに辛い事があってもそこで転んだままではなく、立ち上がり歩みを進めプラスに変えてきた。その姿は見るものに希望を与えた。私もその中の1人だ。

 

 

 

 

今回のCollectionを通じ、私は服をただの身に纏うものとして考えるだけでは勿体無いと考えさせられた。

その服の持つストーリー性をもっと大事にしていくべきではないかと。

ファストファッションが流行する中、ファッションというものが身近になり、選択する自由が増えてきた一方で、私達は考えようとする事が希薄になってきている気がする。

 

 

 

今回の彼の作品はすべてユニセックスである。

男女問わず是非、皆さんも一度手に取り、本物を味わってほしい。

 

 

 

 

有名で手に入れやすい物が売れるのではなく、本当に良いものが売れ皆の手元に届く事を願うばかりである。

 

 

 

 

彼の作品から、考え方が変わりファッションというものを違った角度から楽しめるようになると思う。

 

 

 

 

 

 

『未来は過去の上につくられる。』

Dior、アーティスティックディレクターのRaf Simonsの言葉だ。

 

 

 

 

今回のisita.のCollectionからは、小さくではあるが確実に光が見えた。

 

 

 

雑誌やファッションショーで彼の作品を多く目にする日は、そう遠くなさそうだ。

 

 

 

 

一度は崩れそうになりつつも、様々な辛いことを乗り越えてきた。

そんな彼の目にはいったい今、何が見えているのだろうか。

次の作品が待ち遠しくなるばかりだ。

 

 

 

 

今回のCollectionの作品をネットでも注文ができるらしい。下にリンクを貼っておくので是非自分の目で確かめてほしい。

 

 

 

 

そして実際に手に取り、私が感じた感覚がより伝わる思う。

 

 

 

 

 

最後に、今回の展示会へ足を運び本当に良かったなと心から思う。自分が生きてきた経験をここまで落とし込み、誰かのためになることを願い、 『 isita. 』 を誕生させた彼、井下 恭介に感謝とリスペクトをここに表す。そして、同じ時代に生まれ、出会えた事を心から嬉しく思う。

 

 

 

ありがとう。

 

 

 

 

毎日暑い日が続き、外に一歩踏み出す事すらも辛い。会社や学校にいけば会いたくない者がいるかもしれない。

 

 

『それでも僕達は行かなければならない』

 

 

といったところだろうか。

 

 

失敬。ついつい悪い癖が出てしまった。

 

 

 

書きたい事はまだまだあるが、この辺で終わると同時に、最後まで読んでくださった皆さんに感謝の意を表する。

 

 

 

 

これからの  『  isita.   』、発展を暖かく見守っていただければと思う。

 

 

 

 明日の日本は明るい

 

 

 

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