isita. 2017Autumn/Winter Collection
『僕達に未来はあるのか』
先日、デザイナー井下恭介が手掛けるブランド"isita."が2シーズン目となるコレクション、2017awを発表。
"僕達に未来はあるのか"は今コレクションテーマでもある。
井下は1995年生まれの21歳。2016年に"isita."を立ち上げ、現在はNYにあるParsons美術大学に在籍中である。
今回のコレクションでは、ルックとショートフィルムを発表した。
撮影は、福島県で行われ、ルック撮影には写真家・映画監督の小野寺亮。
ショートフィルムは井下本人が手掛けた。
【 ルックの一部より】
今コレクションでは原発内で働く除染作業員が実際に着用する、放射能防護服を再構築したものや、同じ素材が使われているという。
破壊と再生いったところだろうか。
私が初めて今作品を目にした時に、何か拭っても取りきれない気持ち悪さのようなものを感じた。
大地震により壊滅的なダメージを受けたここ福島での撮影も、破壊から再生、新たな物や時代を生み出そうとういうデザイナーの思いが少なからずあったのではないだろうか。
過去から着想を得、そこから彼自身の表現をするスタイルは今も変わらない。
震災は過去であるが、今でもある。
過去という枠にだけではなく今。今できることを彼自身のやり方で表現した今作品からは、"過去のこと"にされがちな震災や悲劇に対する私たちの向き合い方を考えさせられる。
ただ単純に、カッコイイというでけでは収まりきれなくなってきている。
かっこいい"物"を作り出すだけではなく、奥底に眠っている魂までもを揺らし、震え上がらせる彼の作品は、ある意味で恐怖に似た感覚がある。
そんな印象を今コレクションから感じたことの一つだ。
今コレクションではショートフィルムも発表している。
是非一度みてほしい。
【ショートフィルムより】
ショートフィルムの中盤にかけ、ロウソクに火が灯され直す部分がある。
一度失いかけた光にもう一度命が吹き込まれる。
その後ロウソクを持った若者を先頭に全速力で駆け始める。
津波を起こした海から逃げ待とうようにも見えるし、その光(未来?)に向かって走っているようにも見える。
その一歩一歩は確実で、とても力強い。
そもそも未来とは何か。
これからくる時。将来とある。
苦しいことが待っていようと、希望に満ち溢れていようと未来は未来だ。
ロウソクを握りしめる若者のように自ら希望・光を取りに行くのも、途中で諦めるのも私たち自身だ。
時間は流れ続け、人はやがて死ぬ。一秒先のことさえ誰にもわからず、不安の中で生き続ける。
明るい未来があるとは限らない。現在はいつ、どこにいても戦争やテロと隣り合わせであり、何があってもおかしくない時代だ。
明るい未来なんてどこにもないのかもしれない。
"未来は、どこだ"
そんな前の見えない暗がりの今の時代に、彼の作品は一つの道標にも光にもなるはずだ。
また彼の作品を通し、今一度考えさせられる所がある。
"僕達に未来はあるのか"
そんなこと誰にもわかりやしない。しかしここには彼の作品が確実にある。
一度チェックしてもらいたい。
↓isita. official online shop↓
↓isita. official Instagram↓
Lonely T-shirt
前コレクションから約半年が過ぎ、昨年の末に2017ssのコレクションの発表があった。
前にも紹介した「isita.」を改めて紹介していく。
井下 恭介(isita. デザイナー)
http://instagram.com/kyosuke_ishita
1995年、日本(熊本)出身
現在はNYに在住しAlexander WangやMarc Jacobsなどを輩出したParsons School of Designに通う21歳。
19歳の時に父を亡くし、死から多くのインスピレーション受け「死を纏う」をブランドコンセプトとし、2016年から"isita."を手がけ、作品を制作している。
今回のコレクション「Dreams and reality of Child soldiers」〜少年兵達の夢と現実〜の一つ【Loneley T-shirt】について書いていきたいと思う。
ショップはこちら⬇︎
https://isita.thebase.in/
一見どこにでも売ってありそうなこのシャツだが、一枚に込められたデザイナーの思いと背景は唯一無二でもあり遍在するものでもあった。
黒いベースに表裏にプリント
表:I'm lonely
裏:I'm not lonely
が施されたシンプルなデザインになり
「本当は素直に”寂しい”と言いたいはずなのに、それを言う事ができず"寂しくなんてない"と、強がる現代のティーンの心情が描かれている」
という。
表裏の着方で"服"を着るというより、その者の意思や思いを"纏う"といったところだろうか。
次にデザイナーがTシャツを作成する際に着想を得た写真のポートフォリオを見ていただきたい。
https://instagram.com/p/BQ1pDgQAEE6/
https://instagram.com/p/BQ17iXhgb1H/
https://instagram.com/p/BQ2R9MYAMYo/
それぞれ孤独や同性愛、戦争など、昔から現代にいたって私たちが抱える闇や問題などからインスピレーションを受けたという。
本来の自分の姿。見てもらいたい本当の姿。本当の自分の思い。
対して、周りや世間の目、環境や力などからさらけ出せない偽りの自分。誇張。素直になれない自分。
今を生きる若者や現代に対し訴えかけ、また自らがその問題に立ち向かう事で、その多くの素直になれない凝り固まった世の中を壊し、導いていくデザイナーの意思を感じる。
このLonely T-shirtの背景を知ることで、私も考えさせられることがあった。
素直に生きれず、狭くて暗い世の中はなぜ生まれるのか。
「愛の反対は憎しみではなく無関心である」
マザー・テレサの言葉である。
無関心である人が増えるほど、この世界から愛が枯渇し息のしづらい世界になる。
人にどう見られているのか、また周りがどう思っているのか。
いいねの数がどうとか、あいつがどうとか。
みんな自分に気づいてもらいたいし、他人の評価が気になる。
表面的な部分しか見ず、ニュースや周りに聞いたりしたことしか鵜呑みにせず、本質や中身、背景を知ろうとしないことが結局は無関心であり、生き苦しくさせているのではないかと。
また、偽り続けなければ生きていけなくなる。
その偽りを生み出しているのが少なからず私たちにも原因があると思う。
見た目で判断したり、世の中の流れだけを信じるのではなく、その者の背景であったり、今回のLonely T-shirtであれば、デザイナーがTシャツに込めた思い出あったりを知ろうとすることでもっと本来の姿を見ることができるとも思う。
無関心であり続けることは簡単だが、関心をもっと持つことで結果的に愛が生まれるのだと思う。
だからもっと、そのものの背景、思いを見ていこうと思った。
なんてことを私はこのLonely T-shirtから考えさせられた。
私ごとではあるが、たくさんの背景や、存在する意味を考えさせるこの一枚のTシャツ、デザイナーの持つパワーは強く、また美しくもある。
毎日の生活や環境に押しつぶされそうになっても彼の作品から勇気や希望をもらえる
そんな気がしてやまない。
またこの彼の作品からそういったパワーを与えられる人が少なからず増えることを願いたい。
デザイナーの体験した、愛する人の死による絶望や悲しみ、苦しみを自身が生きる為の光であるものが、私たちを照らし続ける小さな光となってきている。
私は、その小さな光をこれからも信じていきたい。
isita. official Instagram⬇︎
http://instagram.com/isita.official
the_deo_ Instagram⬇︎
https://www.instagram.com/_the_deo_/
『isita.』 2016/2017aw Collection
『僕が何かをする事で他人が喜んでくれる事が大事だと再認識した。』
そう答えるのは、先日メジャー通算3000安打という大偉業を達成したイチローの言葉である。
彼のプレーから、野球ファンのみならず世界中の人々が勇気を与えられたのではないだろうか。
家族、友達、他人のために
そう頭では考えるも、行動に結びつかせることは中々大変だ。
4ヶ月経った現在も行方がわからぬ、大学生が乗っていたと思われる車の破片を手掛かりに、僅かな情報の中で助け出したいと必死に捜索を行っている救助隊員がいた。
しかしそんな捜索の結果も虚しく、遺体で発見されたという報道を耳にした時に本当に悔しい想いになった。
『私は服を作る人間として、私なりのやり方で人々の力になりたい。』
そう語るのは、ブランド 『 isita. 』 を今年2016年から手掛ける デザイナー 井下 恭介 だ。
ブランドのコンセプトは 【反抗】 と 【自己の確立】 だという。
1995年、熊本県に生まれた彼は小さな頃からものづくりが大好きな少年だった。
小学生の頃、周りの子供達がゲーム機を欲しがる中、自分で描いた絵に両親が値段をつけお小遣いを貰ったりと、彼の独特の感性はそういった家庭環境の中で育まれたのかも知れない。
高校時代には柔道に励み、インターハイにも出場した事があるというなんとも類い稀な才能を持ち合わせた人物である。
そんな中、彼が18歳の時父親を亡くした。
絶望の淵に立たされ、断腸の思いを味わった。
しかし彼は負けなかった。
『それでも僕達は生きなければならない』
今回の彼のCollectionのテーマでもある。
絶えない戦争、自殺、テロ......
毎日目を塞ぎたくなるようなニュースで溢れている。
そんな苦しみ、悲しみの中に少しでもある "光 " 。
彼の愛した服を通じて誰かの光になりたい。
彼は先日の大災害が発生した後に自分なりのやり方で故郷の為に動く。
やはり、彼の愛した服で。
復興支援Tシャツを作り、集まった売り上げ金の全額寄付を行った。
その姿は確実に周りを動かした。名古屋市内で行った寄付金集めにも多くの人が集まった。
2016年8月6日、広島では71回目の原爆の日を迎えた。
この日、私は愛知県名古屋市で開かれた彼のCollectionの受注展示会へ行ってきた。
名古屋市内にあるTAKERU cafeというお店の一角で行われていた。
私の中で、展示会というと華やかで盛大というイメージがあった。
ルックブックとラックに掛かった4着の作品、壁に掛かった数枚の写真。失礼ではあるが、イメージしていた盛大とはいえず、非常にシンプルな空間であった。
しかし、それだけで十二分だった。壮麗で派手な場所なんて必要ないのだとすぐに気付かされる。私はそこで、酷く流れのはやい河の上に長い映画の物語が浮かび、目の中で流れていくような錯覚にかられた。
私はまず、ルックを手に取り拝見した。
普通、こういったルックというのは一冊の写真集のように写真がプリントされたものが一般的だが 『 isita. 』 のルックはひと味違った。
表紙には塗料の上にisita.のタグが貼り付けられ、どこか1つのアート作品を手にしている感覚だ。
それはただのルックではなく、間違いなく彼の生き様、魂が詰まっていた。
メダルの重みが違うと、メダリストが揃って口にするがそれに似た感覚だろうか。
ルックのあるページでは、井下本人の直筆で書かれたメッセージがあった。彼に尋ねると、ある作家の小説の一部分を引用しているとか。
小説などからもインスピレーションをうけ、今回の作品にも大きく影響を受けた部分があるという。
話を聞いていると、彼がよく枯れた、水をたっぷりと吸収するスポンジに見えてきて仕方ない。
[ルック1ページ目]
[ルック最後のページ]
ルックの最初と最後のページだ。皆さんはこの写真から何を感じるであろうか?
路頭に迷いながらも、生きるためにはいあがる。
私はこのページからとてつもない力強さを感じた。陰と陽。小説を読み終わったあとの感覚に似たものがあり、見た者に考えさせる。
益々、彼の魅力にひかれる。
今回ルックの撮影にあたり、プロのカメラマンと、地元の友人カメラマンに依頼したという。ここまでに沢山の人の協力の元行われた。
自然と彼の周りには人が集まる。人との繋がりを大切にしてきた証拠だ。
他人のことは考えず、自我の欲求のためだけに生きていくことは楽で気持ちが良い。
目の前で辛い思いをしている人のために何か出来ないかと、行動する彼の姿はとても美しい。
自分の事で精一杯になっている人が私も含め、多い気がしてやまない。
そんな彼の姿は私達も見習う所がある。
故郷の震災、父親の死....
マイナスとマイナスを掛け合せればプラスになる様に、彼はどんなに辛い事があってもそこで転んだままではなく、立ち上がり歩みを進めプラスに変えてきた。その姿は見るものに希望を与えた。私もその中の1人だ。
今回のCollectionを通じ、私は服をただの身に纏うものとして考えるだけでは勿体無いと考えさせられた。
その服の持つストーリー性をもっと大事にしていくべきではないかと。
ファストファッションが流行する中、ファッションというものが身近になり、選択する自由が増えてきた一方で、私達は考えようとする事が希薄になってきている気がする。
今回の彼の作品はすべてユニセックスである。
男女問わず是非、皆さんも一度手に取り、本物を味わってほしい。
有名で手に入れやすい物が売れるのではなく、本当に良いものが売れ皆の手元に届く事を願うばかりである。
彼の作品から、考え方が変わりファッションというものを違った角度から楽しめるようになると思う。
『未来は過去の上につくられる。』
Dior、アーティスティックディレクターのRaf Simonsの言葉だ。
今回のisita.のCollectionからは、小さくではあるが確実に光が見えた。
雑誌やファッションショーで彼の作品を多く目にする日は、そう遠くなさそうだ。
一度は崩れそうになりつつも、様々な辛いことを乗り越えてきた。
そんな彼の目にはいったい今、何が見えているのだろうか。
次の作品が待ち遠しくなるばかりだ。
今回のCollectionの作品をネットでも注文ができるらしい。下にリンクを貼っておくので是非自分の目で確かめてほしい。
そして実際に手に取り、私が感じた感覚がより伝わる思う。
最後に、今回の展示会へ足を運び本当に良かったなと心から思う。自分が生きてきた経験をここまで落とし込み、誰かのためになることを願い、 『 isita. 』 を誕生させた彼、井下 恭介に感謝とリスペクトをここに表す。そして、同じ時代に生まれ、出会えた事を心から嬉しく思う。
ありがとう。
毎日暑い日が続き、外に一歩踏み出す事すらも辛い。会社や学校にいけば会いたくない者がいるかもしれない。
『それでも僕達は行かなければならない』
といったところだろうか。
失敬。ついつい悪い癖が出てしまった。
書きたい事はまだまだあるが、この辺で終わると同時に、最後まで読んでくださった皆さんに感謝の意を表する。
これからの 『 isita. 』、発展を暖かく見守っていただければと思う。
明日の日本は明るい
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